穀物+大豆+野菜+(魚)」という
日本食の威力
〜植物食民族の旺盛な生殖能力〜

植物食民族の生殖能力は旺盛である。「穀物+大豆+野菜+(魚)」という日本食の威力をみよ! 親鸞の教えを日本中に広めた蓮如は生涯に27人(13男14女)の子どもをつくった。蓮如は72歳で5人目の妻を娶り7人の子どもを産ませている。最後の子どもができたのは84歳であった。この桁はずれの生命力(生殖能力)の根源は植物食にあった。



全身で親鸞に帰依して親鸞の教えを広め、巨大な本願寺教団をきずきあげた蓮如は、72歳で5人目の妻を娶り、84歳で27人目の子を儲けている(五木寛之. 蓮如ム聖俗具有の人間像ム. 岩波新書. 1994年7月. 東京)。本願寺の非嫡出子として生まれた蓮如は、40歳まで部屋住みの身であった。蓮如の生きた1415-1499年は、度重なる戦乱・飢饉と土一揆の頻発した次代であった。上記の五木の書物から抜き書きする。

水で薄めた粥を幾人もですする貧しい生活のなかで、蓮如は二十八歳のときようやく部屋住みのまま妻を迎え、やがてつぎつぎと子供が生まれます。男の子四人、女の子三人、あわせて七人が不如意な生活のなかで誕生しました。この七人が最初の妻の子です。

この多産の妻は如了という婦人で13年間の結婚生活ののち、病気で亡くなった。

やがて彼は再婚しますが、前の奥さんの実の妹で、蓮祐とい います。乳飲み子を抱えた貧しい部屋住みの男に同情して、何かと世話をやいているうちに愛情が生まれたのだ、という説があります。この女性ともまた長く連れ添って十人の子供を産みました。

蓮如は五十六歳のとき、この二番目の夫人を亡くしました。そして三番目に蓮如と連れ添ったのは如勝という女性ですが、蓮如六十四歳のときに、またもやこの三番目の女性は亡くなりました(註 如勝との間に一人の子をなす)。その後、蓮如は七十歳をこえてから、四度目の妻を迎えます(註 宗如というこの夫人は二人の子を産んだ)。この人もやはり亡くなりまして、最後に蓮能という非常に若い女性を迎えて五度目の結婚をし七人の子供を作ります。この妻が蓮如の最後をみとりました。

こうして眺めてみますとなんだか気が遠くなるような話です。最後の子供ができたのは八十四歳というのですから、まさに奇跡といいますか、スーパーマンといいますか、実に何とも言えない驚くべき人物です。五人の女性に男の子十三人、女の子十四人、十三男十四女あわせて二十七人の子供を産ませたという、これはもう桁はずれの人です。その生命力といいますか、エネルギーといいますか、本当にこういうこともあり得るのかと驚くほどの人物です。

蓮如が完全なベジタリアンであったかどうか判らないが、現代の平均的な日本人ほどには肉や魚を食べなかっただろう。蓮如の食生活がどんなものであったか是非知りたいところだ。おそらくベジタリアンに近い生活であっただろう。72歳で若い妻を娶り、84歳で7人目の子を産ませるという奇跡ともいうべき生命力の源泉は菜食にあったのだ。読者の中には「肉は精がつく」とお考えの方が多いだろう。しかし、それは逆なのだ。ヒトの生命と活力の源は、植物が太陽光エネルギーを用いて炭酸ガスと水から造るデンプンにある。

昨今はグルメ流行りである。テレビにグルメ番組の登場しない日はないといっていいほどだ。にわかグルメは色鮮やかな食品を口にいれたとたん、あるものは宙の一点を凝視し、あるは瞑目して、「こってりして(味が濃すぎる)」「さっぱりして(薄味に過ぎる)「しこしこして「固過ぎる」美味しいなどと宣う。「まったりしている」などという意味不明の表現もある。「個性的な味がする」「食材の味が活かされている」などは「不味い」の同義語である。どなたかの川柳に「グルメ番組、たまには不味いと言ってみろ」というのがあった。

グルメを礼讃する國では出生率が低い(男の生殖能力が落ちている)。イタリア、フランス、日本がその代表である。塩野七生さんの「再び男たちへ」(文藝春秋、1991年4月)の「グルメ考」によると、「葡萄酒の新酒はギリシャ産のどこそこのものにかぎるとか、魚をベースにしたソースの隠し味には、インド産の香辛料の何とかが欠かせない、という感じの美食の後に何が来るか。安眠ではないか。安眠というからには、もちろん一人で眠りだけをむさぼることを意味する。つまり、食事面での美味追求にエネルギーを消費してしまえば、別の面での美味追求に費やすエネルギーは残らない」そうだ。つまるところ、「グルメ志向が強いものにはインポが多い」のだ。りんごや桃の木に肥料をやり過ぎると果実が少なくなるのと同じである。

エルウイン・フォン・ベルツは、「肉食は瞬間的な大仕事には適しているが、それを継続する段になると植物性食物に及ばない」と述べた(ショットレンダー著/石橋長英訳 エルウイン・フォン・ベルツム日本に於ける一ドイツ人医師の生涯と業績ム 伝記叢書191 大空社 1995年10月)。肉食と労作によって筋肉は肥大し増量するが、その増量した筋肉に仕事をさせるのはグリコーゲンと呼ばれる動物デンプンである。グリコーゲンは主として植物デンプンから作られる。「肉食は継続する大仕事(たとえばマラソンや長距離水泳)には適していない」のだ。その例を次に示す。


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