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1. 牛乳と日本の少子化問題
日本の合計特殊出生率がとうとう1・25(2005年)になってしまった(図1)。1950年には223・8万の子どもが生まれた。出生率(人口1000対)は28・1、合計特殊出生率は3・65であった。ところが、55年後の2005年に生まれた子どもは106・3万で、出生率は8・6、合計特殊出生率は1・25である。日本の将来に暗い影を投げかけているこの少子化の主たる原因は、青年の非婚・晩婚という社会現象によるものであろう。しかし、一方で、動物としての日本人の生殖能力が落ちているのではなかろうか。

日本人の乳・乳製品の消費量(1人1日当たり)を年齢階級別に見ると、前思春期の7−14歳(307・8g)と幼児期の1−6歳(221・8g)の消費量が突出している(図2)。因みに、性成熟期にある青年期(20−29歳)の消費量は128・3gである。

前思春期はヒトの精巣発育にとって重要な時期であり[1]、内分泌撹乱作用を最も受けやすい[2]。精巣のセルトリ(Sertoli)細胞の数によって成長してからの精巣の大きさや精子数が決まる。ラットなどの動物ではセルトリ細胞の数は胎仔期に決まってしまうが[3]、ヒトでは胎児期のみならず思春期を通じてセルトリ細胞の質的および量的成長が起こる[1]。前思春期の少年では体内のエストロゲン濃度が極めて低いので、14歳以下の少年の性的成熟に対するエストロゲンの影響が大きい[2]。性発達過程にある幼少期に与えるホルモン入り牛乳が、日本人の生殖能力に悪影響を与えている可能性を否定できない。日本人に牛乳は必要ないが、どうしても牛乳が飲みたいという子どもには妊娠していない牛から搾った牛乳を少量与えることだ。
1960年以降で子どもがもっとも多く生れたのは1973年であった。この年には209万1983人もの子どもが生れた(第2次ベビーブーム)。しかも人工妊娠中絶が70万532件あったから、約280万人の女性が妊娠していたことになる(表1)。ところが2004年の妊娠数は約141万件(生れた子どもは111万721人)と半分になってしまった。妊娠可能年齢(15-49歳)の女性1000人当たりの妊娠数も1973年の92・98から2004年の49・78へとほぼ半減した。厚生省は1999年に、経口避妊薬(低用量ピル)を医薬品として承認したが、賢い日本女性はこのような危険でかつ面倒くさいものに手を出さない。日本人の繁殖力(主として男の生殖能力)が衰えてしまったのだ。

日本の男の性的ポテンシャルが落ちている。朝日新聞は2001年6月下旬、学識経験者の監修を受け、インターネットを使って20−50代の男女各500人の既婚者を対象にアンケート調査を実施した(朝日新聞2001年7月4日)。その結果、30代の4人に1人は仕事や育児に追われて「セックスレス」であった。日本性科学会は、病気など特別な事情がないのに1ヶ月以上性交渉がないカップルを「セックスレス」と定義している。朝日の調査では、夫婦間の性交渉が「年数回程度」「この1年全くない」が全体で28%に上った。30代で26%、40代で36%、50代で46%であった。20代でも月1回程度が18%、年数回程度が9%、この1年全くないが2%で、月1回以下が29%もあった。日本人にはセックスより他に愉しいことがあるからかも知れないが、日本人の繁殖力(主として男の生殖能力)が衰えてしまったのだと考えることもできる。政府がいくら「産めよ増やせよ」と叫んだところで生まれる子どもが増えるはずがない、そもそも子づくり作業を行わないのだから。
もちろん、合計特殊出生率の低下のすべてを男の責任に帰することはできない。日本人の精子が質・量ともに世界最低であっても[4]、20代の女性なら受胎できる。しかし30代の後半となっては難しいだろう。牛乳・乳製品のエストロゲンとプロゲステロンの比率は経口避妊ピルにほぼ等しい。健康によいからと牛乳・乳製品をたくさん飲みたくさん食べながら(身体が妊娠と錯覚する)、不妊治療を受ける女性の姿は痛ましい。妊娠を望むなら、一切の乳製品を遠ざけることだ。アイスクリームなどは女性ホルモンの宝庫である。
日本では7カップルのうち1カップルが不妊といわれている。日経新聞(2006年6月26日)によると、「2003年に不妊治療を受けた人は約46万人と、4年前の1・6倍。新生児の65人に1人は体外受精」である。体外受精ならずとも、第三者が関与(排卵誘発剤の使用、人工授精、顕微授精など)によってやっと生まれた子どもの数はずっと多いだろう。
かつて「少子化をのりこえたデンマーク」(朝日選書690、朝日新聞社、2001年12月)という書物まで出版されたデンマークで大変なことが起こっている。人口540万人のこの国には年間約6万人の子どもが生まれる。2002年の記録によると6万4149人の子どもが生まれ、そのうち3955人(6・2%)が人工授精、顕微授精、体外授精などの医療の介助によって生まれた(単なる排卵誘発剤の使用によって妊娠・出産にいたったケースは記録されていない)[5]。正常精子が9%未満になると「生殖能力が劣っている」(subfertility)と判断される[6]。スカッケベック(Skakkebaek)博士によると[7]、デンマークの青年の67%が「生殖能力が劣っている」という。スカッケベック博士はデンマークにおける不妊の増加は単なる社会的要因によるものではなく、外因性内分泌撹乱物質(いわゆる環境ホルモン)による男性生殖能力の低下を考慮すべきだと強調している。1993年のLancetに掲載された論文[8]で、環境ホルモンの一つとして牛乳・乳製品を挙げたスカッケベック博士は新しい論文[7]では牛乳・乳製品に全く言及していない。WTOで敗訴してもアメリカ・カナダ産牛肉の輸入を断固拒否するEUの姿勢を支えた博士が牛乳中ホルモンの危険性を知らないはずがない。酪農王国のデンマークで「牛乳によって生殖能力が落ちた」と述べることは日本で「米のメシによって生殖能力が落ちた」と言うようなものである。牛乳問題はますます深刻かつ複雑である。因みに、日本は酪農の範をデンマークに求めた。
かつて精子の質と量はデンマークの男性が世界最低と言われていた。最近日本で行われた調査で川崎/横浜在住日本人の精子の質・量がデンマーク人と同レベルあるいはそれより劣っているという結果が報告された[4](表2)。この調査は、川崎/横浜在住の日本人男性の精子をヨーロッパ4都市(デンマークのコペンハーゲン、フランスのパリ、イギリスのエジンバラ、フィンランドのトウルク)の男性の精子を、同じ方法で比較したものである。日本人男性はすべての精子パラメターにおいてヨーロッパ男性に劣っていた。

日本で2006年の上半期(1-6月)の出生数が前年同期を1万1618人上回ったというニュースは喜ばしい(日経新聞8月22日)。しかしこれは一時的なものであろう。社会的支援によって一時的に出生率が上昇することはすでにスェーデンやデンマークでも観察されている。前述のように、デンマークは生殖医療技術によってかろうじて合計特殊出生率1・7-1・8を維持している。日本で問題なのは1970年以降に生まれた世代(いわゆる団塊ジュニア=母親が妊娠中に牛乳飲用を半ば強要され、生まれたときから牛乳を飲まされた世代)の出生力低下である。根本的な対策が行わなければ日本の将来は暗い。
1960年以降に生まれた子どもは学校の先生に「牛乳ほどよいものはない」「他のものは残しても牛乳だけは残すな」と言われて育った。昼食で牛乳を飲み終わらないと外で遊ぶことが許されなかった。「喉が乾いたら水の代わりに牛乳を飲め」という親や先生がいた。2003年5月の文部科学省の指導通達で、学校の先生は生徒に牛乳を強要しなくてもよくなったらしいが、児童は相変わらず牛乳を半ば強制的に飲まされている。
現在の牛乳は「妊娠動物の血液」である。「牛乳=白い血液」である。女性ホルモンに関しては「牛乳=妊娠動物の濃縮された白い血液」である。私は、一刻も早く、幼児・学童(女性ホルモンが最も少ない)にホルモン入り牛乳を与えることを止めて欲しいと考える。
欧米人に比べて日本人の牛乳飲用の歴史ははるかに短い。もし現代牛乳に悪影響があるとすればその影響は日本人により強く現われるであろう。実際、アジア人は欧米人に比べて精巣が小さく、精巣当たりセルトリ細胞が少なく、その機能も低く、外来のホルモンによって障害を受けやすい[9]。豊かになったアジア諸国では合計特殊出生率が押し並べて低い。韓国1・08、シンガポール1・24、日本1・25である。現在の女性ホルモン入り牛乳を14歳以下の性腺発育期のアジア人児童に与えることを控えるべきである。
最近では、農薬を使わない牧草・穀物で乳牛を飼育するという「有機酪農」で実績を挙げている酪農家もいるし、パスチャライズド牛乳、脂肪分の多いジャージー乳、放牧酪農を「売り(付加価値)」にしているところもある。しかし、妊娠している乳牛から搾った牛乳は、どのように工夫しようとも、安心して飲める牛乳ではない。安全なミルクを提供する酪農の鉄則は「妊娠している乳牛からミルクを搾らない」ということである。妊娠していないウシが産生する乳製品なら(少量であることが前提である)、母親は安心して子どもに与えることができる。たとえ高価であっても賢い日本の消費者は購入する。牛乳は子牛の飲みものであるから、本来、日本人には無用であるが、酪農家には敢えてこのように伝えたい。子どもはアイスクリームが大好きである。牛乳はなくてもよいが、アイスクリームがなくなるのは困るという。アイスクリームなどの乳製品はできるだけ食べないで欲しいが、どうしてもと言われれば、図3の非妊娠牛からの牛乳を原料としたアイスクリームを与えたい。

なお、ミルクが妊娠牛からのものか非妊娠牛からのものかは、牛乳中のプロゲストロンを測ることによって簡単に識別できる。妊娠牛からの牛乳のプロゲストロン濃度は8ng/mLを超えている。妊娠していない牛から絞った牛乳を「非妊娠牛からの牛乳」、それ以外の牛乳は「妊娠牛からの牛乳」と表示して、消費者の選択権を与えることを提案する。プロゲストロンが8ng/mL未満を「非妊娠牛からの牛乳」、以上を「妊娠牛からの牛乳」とすることもできる。
2. 牛乳と文部科学省
文部科学省は、2003年5月30日付けで、「学校給食における食事内容について」という通達を各都道府県知事らに出した。ちょっと見には給食に牛乳を出さなくてもよいことになった。栄養所要量の基準として、給食からのエネルギー所要量は1日の所要量の33%となっている。つまり、全エネルギー摂取量の1/3を給食(昼食)から摂るとしている。それなのに、カルシウムは、1日の所要量の50%を学校給食でまかなうように通達している。これは、言い換えれば、学校給食に牛乳を必ず加えよという「強制」である。さらに、学校給食における食品構成について、この通達は次のように述べる。「牛乳については、児童生徒等のカルシウム摂取に効果的であるため、その飲用に努めること。なお、家庭の食事においてカルシウムの摂取が不足している地域にあっては、積極的に調理用牛乳の使用や乳製品の使用に努めること」。異種動物のミルクの危険性を知りながら、国があえてこのような通達を出すことは極めて罪深い。
牛乳を飲んだところで骨粗鬆症の予防にはならないが、カルシウム問題はたいしたことではない。骨粗鬆症はその人一代限りのことである。しかし、牛乳ホルモン問題はその人を飛び越えて次世代まで影響する。問題の性格と大きさがぜんぜん違う。
牛乳・乳製品は日本人に新しい香りと味覚をもたらした嗜好品である。好きな人の飲み食いに異論を唱えるつもりは全くない。「美味しいからどうぞ」と人に勧めるのも結構である。業界が「美味しい○○」と宣伝することも構わない。私も「一本どう?」と煙草を差しだしたことがあったし、今でもときどき「今晩一杯やろう」と声をかける。
しかし、古今東西、国民にある特定の食品を強要した国家が存在しただろうか。健康志向の強かったドイツ・ナチスでもこんなことはしなかった。日本(旧文部省、現文部科学省)だけである。
文献
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2. Andersson AM, Skakkebaek NE. Exposure to exogenous estrogens
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of Endocrinology 140: 477-85, 1999.
3. Orth JM, Gunsalus GL. Lamperti AA. Evidence from Sertoli cell-depleted
rats indicates that spermatid number in adults depends on numbers of Sertoli
cells produced during perinatal development. Endocrinology 122: 787-94,
1988.
4. Iwamoto T, Nozawa S, Yoshiike M, Hoshino T, Baba K, Matsushita
T, Tanaka SN, Naka M, Skakkebaek NE, Jorgensen N. Semen quality of 324
fertile Japanese men. Human Reproduction 21: 760-5, 2006.
5. Andersen AN, Erb K. Register data on assisted reproductive technology
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Andersson A-M, Juul A, Carlsen E, Mortensen GK, Jensen TK, Toppari J.
Is human fecundity declining? International Journal of Andrology 29: 2-11,
2006.
8. Sharpe RM, Skakkebaek NE. Are oestrogens involved in falling
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9. Johnson L, Barnard JJ, Rodriguez L, Smith EC, Swerdloff RS,
Wang XH, Wang C. Ethnic differences in testicular structure and spermatogenic
potential may predispose testes of Asian men to a heightened sensitivity
to steroidal contraceptives. Journal of Andrology 19: 348-57, 1998.
付記:乳・乳製品の女性ホルモンは「微々たるもの」ではない
2006年8月18日の毎日新聞夕刊に「乳・乳製品中の女性ホルモン」が取り上げられた。この中で山口大学農学部の中尾敏彦教授は「牛乳中のホルモンを摂取しても、女性の体内を流れているホルモンの量に比べれば微々たるもの」というコメントを寄せた。これは全くの誤りである。現在の牛乳は「妊娠動物の白い血液」であり、牛乳中女性ホルモン濃度は妊娠乳牛の血液中ホルモン濃度と同等あるいはそれ以上である。この方がもし、牛乳中のホルモンを量的に女性(ヒト)の血液中のホルモン量と比べているのであれば、牛乳中のホルモン量を成熟女性の体内に存在する女性ホルモン量と比べるという更なる誤りをおかしている。人間で最も女性ホルモンが低いのは前思春期の男の子である。成熟女性の女性ホルモンではなく前思春期の男の子の女性ホルモンと比べなければならない。
最近出版された論文[1]に基づいてこの問題を論じてみる。
自然界に存在する女性ホルモンの一つであるエストラジオール(卵胞ホルモン)は環境ホルモンよりホルモン活性が少なくとも1万倍は高い。したがって、肉、乳・乳製品などに含まれている女性ホルモンは人間の性発達に与える影響が大きい。動物由来のエストラジオール、プロゲステロン(黄体ホルモン)、テストステロン(男性ホルモン)は人間のものと同一である。エストラジオール-17bは最も強力なエストロゲンである。その代謝物であるエストロンは比較的活性が低いが、この代謝物は食品中に大量に存在するので、総体的にエストロゲン作用が大きい。
動物の可食部分はすべてエストラジオールとその代謝物をいろいろな濃度で含んでいる。これらの自然に含まれるエストロゲン以外に、牛の生長促進剤として飼料効率を高めるために天然・合成の性ホルモンがいくつかの国(アメリカ、カナダ、アルゼンチン、オーストラリア、ニュージーランド)で使用されている。生長促進剤としてエストラジオール-17bが単独で用いられることもあるが、他の天然ホルモン(テストステロンあるいはプロゲステロン)あるいは強力な合成ホルモン(トレンボロン、酢酸メレンゲストロール、ゼラノール)と一緒に用いられることもある。このホルモン処理によって牛肉中にエストロゲンが残留する。ただし、欧州連合(EU)は1989年来、すべての加盟国が生長促進剤としてホルモンを用いることを禁止している。
米国食品医薬品局(FDA)は、前思春期の子どもにおける女性ホルモンが人間の中で最も低いことから子どもの体内生産量の1%を外から摂取する性ステロイドの最大安全摂取量と定めている(http://www.fda.gov)。エストラジオールを例にとってみよう。FDAは前思春期の男の子のエストラジオールの体内生産量を6・5マイクログラムとしているので、エストラジオールの一日許容摂取量(ADI;
Acceptable Daily Intake)は65ナノグラムということになる。FDAの数値は「食品添加物に関するFAO/WHOの共同専門委員会(JECFA)の数値[2]を採用したのである。しかし、その根拠となった前思春期の男の子におけるエストロゲンの体内生産量は極めて疑わしい数値で、この一日許容摂取量には多くの疑問が寄せられている[3-5]。
あるホルモンの体内産生量はそのホルモンの24時間代謝クリアランス(MCR; Metabolic Clearance Rate=ホルモンが血液中から代謝によって除去される速度で、除去されたホルモン量を含む血液量または血漿量で表す)とそのホルモンの血漿濃度から次式で求められる。
体内産生量(マイクログラム/day)=血漿濃度(マイクログラム/ml)x MCR (ml/day)
かつての測定法(ラジオインムアッセイ)で得られた著しく高い前思春期の子どもの血漿エストラジオール濃度を使っていたこと、および前思春期の男の子に比べて著しく大きい成人女性のMCRを使っていたことから、JECFAとFDAが計算した前思春期の男の子のエストラジオールの体内産生量は実際の数値に比べて100-200倍も高い[3]。
Kleinら[6]の新しい測定値に基づいて計算しなおすと、前思春期の男の子のエストラジオールの体内産生量は0・04-0・1マイクログラムになる[3]。体内生産量0・04マイクログラムから計算した一日許容摂取量は0・4ナノグラム(0・04マイクログラムの1%)である。仮に体内産生量を0.1マイクログラムとしても一日許容摂取量は1ナノグラム(0・1マイクログラムの1%)である。
前思春期の子どものエストラジオール産生量に関して完全に意見の一致がみられているわけではないが、最近の研究はすべて前思春期のホルモンレベルかつて信じられていたよりもずっと低いことは明らかである。さらに、成人女性のMCRではなく将来子どものMCRが計算に用いられるようになったら実際の一日許容摂取量はさらにもっと低くなるであろう。因みに現在の子どもは平均して1日320グラムの乳・乳製品を摂っており1日当りのエストロン摂取量は100ナノグラムに達する。すなわち、エストロンだけで計算しても、現在の日本の男の子は体内産生量とほぼ等量の女性ホルモンを乳・乳製品から毎日摂りつづけているのである。
つづいて2006年9月16日の日経新聞に、「牛乳論争は妥当か」という記事が掲載された。この中で信州大学・細野明義名誉教授(畜産物利用学)の「牛乳の性ホルモンを本格的に調査したデータはなく、確かにまったくリスクがないとは言い切れない」「ただし、牛乳工場で加熱処理をすれば牛乳中の性ホルモンは活力を失うはず」という言葉を紹介している。細野名誉教授は牛乳に含まれている性ホルモンがステロイドホルモンであることをご存知ないようだ。ステロイド骨格の性ホルモンは125-130度・数秒間の高熱滅菌では壊れないことはすでに実証済みである。日本で市販されている牛乳はホルモン作用を示すのである[7]。詳しくは「食に関する一日一話(1)」の2005年4月16日-24日の記述を参照していただきたい。日経の記事は最後に日本酪農乳業協会・本田浩次会長の「牛乳の食品としての機能性については、研究者が科学的実証を積み上げてきている。今後も消費者にそのよさをアピールしていきたい」を言葉を引用し、ご丁寧にも「興味本位ではない冷静な判断が必要だろう」と結んでいる。そう、まさしく今こそ「冷静な判断」が必要なのである。
牛乳飲用の歴史がわずか55年ほどの日本で「欧米人が飲んでいるからよいものにちがいない」と牛乳・乳製品を勧める大学関係者は無知(無恥)か脳天気の単なる業界の御用学者である。科学的実証など全くないが、商売だから酪農乳業協会が牛乳の効用を宣伝するのは当然である。しかし、天下の公器たる一般新聞が特定の業界の提灯持ちであってはならない。肩入れするのは業界新聞である。業界の動きに敏感に反応する日本経済新聞でなければこのような記事は掲載できないだろう。日経に比べると毎日の記事はそれなりに中立であった。
文献
1. Aksglaede L, Juul A, Leffers H, Dkakkebaek NE, Andersson A-M.
The sensitivity of the child to sex steroid: possible impact of exogenous
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2. The Joint FAO/WHO Expert Committee on food additives (1988)
Evaluation of certain veterinary drug residue in food. World Health Organization,
Geneva. WHO Technical Report Series 763.
3. Andersson AM, Skakkebaek NE. Exposure to exogenous estrogens
in food: possible impact on human development and kealth. European Journal
of Endocrinology 140: 477-85, 1999.
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5. Partsch CJ, Sikppel WG. Pathogenesis and epidemiology of precocious
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